成功事例にみる、重要な2つのポイント
IT業界の大きな問題を解決するために重要なポイントは「OSSの活用」と「技術力と情熱を持ったIT企業やエンジニアとのコワーク」の2点です。
しかしながら、企業におけるOSSの導入は進んでいますが十分とは言えません。現時点では、DBMSやWebAPサーバなどにおいて「単なる商用製品の置き換え」になっているのが実情です。
我々は、さらなるOSSの活用を推進することで課題解決することを推奨しています。
・業務アプリケーション領域のOSSを活用する
・カスタマイズやアドオン開発を積極的に行う
・最初から「動く画面」を見ながら仕様を議論
これにより、「スクラッチ型システム開発」の問題点を解決することが可能です。
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高リスクゆえにリスクヘッジ型の思考で捉える。
→既に存在する動くシステムをベースとしているため低リスクを実現。 - その結果、本当に必要な機能のアドオン開発、カスタマイズや、使い勝手の改善に注力できる。
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完成までの期間が長い。
→既に動くシステムをベースとしているため短期間で稼働できる。 -
継続的な改善が難しい。
→OSSの本体はOSSコミュニティが維持、企業は自社でカスタマイズ、アドオンした部分に注力することでブラッシュアップ可能。
カスタマイズやアドオン開発が柔軟なOSSのメリットで「いいとこ取り」
導入システムにOSSではなくパッケージを活用する手段もありますが、パッケージの場合は「パッケージに業務を合わせる」ことが基本となります。
これでは自社の強みを殺してしまうことになりかねません。
OSSの場合はカスタマイズやアドオン開発が柔軟に行えることから、
「業務にパッケージを合わせる」ことが可能となり、パッケージとスクラッチ開発の「いいとこ取り」が可能となります。
技術力と情熱を持ったIT企業やエンジニアとのコワーク
OSSを上手く活用するためには、OSSのカスタマイズやアドオン開発に精通したIT企業とのコワークが欠かせません。
IT企業側も「ユーザー企業の業務や事業の方針」「システム化の目的」などを理解し、ユーザー企業と渾然一体となってプロジェクトを推進することが重要です。
実際に、OSSを上手く活用しながら成果を上げている企業があります
(大手グローバルサービス業A社)
- 海外拠点のビジネス拡大にともない、数十の海外拠点で利用する、共同利用型のシステムを企画。
- 海外顧客との取引における、受注管理、発注管理、顧客管理、ドキュメント共有などを行うシステム。
- 全ての海外拠点での利用になるため、利用ユーザ数は多くなる。商用製品だとライセンス費が高額になるためOSSを積極的に活用。
利用したオープンソースの名称 | 機能概要 |
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ADempiere/iDempiere | 統合業務パッケージ(ERP) |
Alfresco | ドキュメント管理 |
Pentaho | 情報分析、レポーティング |
OpenAM/OpenIDM | ユーザID統合管理、認証・シングルサインオン |
- それぞれのOSSに精通したIT企業を選定。
- ユーザー企業、各IT企業との間で密にコミュニケーションを行い、アジャイル的にプロジェクトを推進。
- わずか6か月という短期間でシステムを稼働。以後、継続的に改善。
(大手通信業B社)
国内法人営業部の情報共有が課題。成功した営業事例を全国で共有するシステムを企画。
当初はスクラッチ開発を想定。しかし、OSSをベースとし、カスタマイズ+アドオンによる開発のほうが短期間、低コストで開発可能と判断。
・OSSの情報共有ポータル「Liferay」をベースに、カスタマイズ+アドオンを実施。
・Liferayに精通したIT企業とコワークし、アジャイル的にプロジェクトを推進。
わずか3ヶ月でシステムを稼働。以後、継続的に改善。