IT業界の大きな問題
私は、小学校のころからパソコンが大好きで、いわゆる「パソコンおたく」でした。
パソコンは非常に高価なものだったので、小遣いで買えるようなものではありません。
そこで、毎日家電店にかよって、展示しているパソコンにプログラムを打ち込み、遊んでいました。
高校生のときも、Z80という当時主流のCPUのアセンブラを使って、仲間と一緒に作業を分担してゲームを作ったりしていました。当時はツール類もそろっていませんでしたから、ゲームのフレームワークや、お絵かきツール、画像圧縮展開ツールなども、ゼロから作ったことを思い出します。
私はコンピュータやプログラミングが大好きなので、「3K」などと言われる今のIT業界について、とても残念に感じています。
システムエンジニアは、もっと楽しく仕事ができるはずだ
情報システムやシステムエンジニアは、もっと企業や社会に貢献できるはずだ
とずっと考えていました。
現在のIT業界の問題について、大きくは以下の2点に原因があるのではないかと考えています。
(1)多段階の階層構造の弊害
<ユーザ企業にとって>
ユーザ企業にとっては、多段階の階層構造によって「中間マージンを多くとられている」という問題があります。
単純な計算ですが、5次請け(5段階)まであった場合に、各社がそれぞれ10%の中間マージンをとったとすると、ユーザ企業への提供価格は35%割高になります。
※各IT企業が得意分野を分担した場合などに、それをインテグレーションするIT企業が必要となるケースもあり、必ずしも全ての階層構造が良くないというわけではありません。
<下請け企業にとって>
コラム「中小IT企業・エンジニアの方へ」も参照いただきたいのですが、下請け企業では「お客様の顔」が見えなくなり「元請け企業から言われたことだけやる」という仕事のやり方になりがちです。
これでは、エンジニアのモチベーションも下がり、生産性も下がります。
結果として良いシステムがユーザ企業に納品されるのは難しく、ユーザ企業にとってもデメリットとなります。
コラムを読む:中小IT企業・エンジニアの方へ
(2)スクラッチ開発への偏重
スクラッチ開発の問題点は、コラム「企業のシステム担当の方へ」でも書いたとおり、以下のようなところだと考えています。
ご存知のとおり、日本におけるシステム開発は、「スクラッチ型」のシステム開発が主流です。
この場合、「システムが安定稼働するかどうか」が最重要課題であり、結果として、
- 企業の事業推進のために、どのような機能が本当に必要なのか
- 利用部門が十分にシステムを活用できるように、使い勝手をどうするか
- そもそも何のためのシステムなのか
といったところの検討が十分にされず、
- いかに機能を削って、安全にシステムをリリースするか
という議論が優先されてしまいます。これでは「よいシステム」が出来るはずがありません。
また、「スクラッチ型」のシステム開発においては、開発までに1年程度かかることが通常です。
一回開発した膨大なソースコードを維持していくためには、
開発した多くのエンジニアを継続的に確保しなければならず膨大な維持管理コストがかかります。
これにより、機能や使い勝手の改善にまで手が回らず、変化への対応も遅れてしまいます。
我々は、このようなIT業界の問題を解決し、ユーザ企業にとってもIT企業にとってもハッピーであり、多くの若者がIT業界を目指すような世の中を作りたいと考えています。
コラムを読む:企業のシステム担当の方へ